匠の聚フォトコンテスト2014審査会概要
審査日時 平成26年10月3日(金)午後1:00~
審査場所 川上村役場第1会議室
審査員 写真家 /百々 俊二
写真家 /内山 りゅう
アートディレクター/猪熊 裕行 《敬称略・順不同》
審査員講評(総評/要約)
写真家/ 百々 俊二氏
いつも同じ事を言っているように思いますが、表現構造という部分で大きく変わっていませんね。ネイチャーであれドキュメントであれ、視覚体験で写真というものに置き換えていくものですが、その写された写真から、例えば森のざわめきが聞こえてきたり、川のせせらぎが聞こえてきたり、人の五感をくすぐるような要素がもう少し必要だと感じます。フレーミングも含めて何かそういうところへ広がる表現力があれば、もっとレベルが上がってくるでしょう。
川上村に何度も訪れて、風土や人と触れ合って自分の視座を見つけ、写真をとおしてどのように地域と関わり、どう捉えていくかという計画や準備が必要です。ネイチャーフォトに関しては特にわかりきったような捉え方で、ある種の美意識だけではなく、自分がそこで何を感じたか、どういう体験をしたか、本当に何に美しいと思ったか、もう少し作品にその想いを伝える工夫が必要です。表現力というのは感じたものをそれ以上に感じさせるような捉え方をすることだと思います。
写真家/ 内山 りゅう氏
前回も少し触れましたが、プリンターで出てきた色に非常に違和感があって、もう少しプリントしたものに対して責任を持つと言いますか、しっかり最後まで諦めることなく追いかけてください。実際の自然の色がかなりオーバーに出てしまっている作品が多かったです。作品自体のピントや露出などは合っているのに、色があまりにもかけ離れています。特に緑に関しては蛍光色が強すぎて、自然界には存在しないと思える作品もありました。もう少しナチュラルな色を追及してほしいですね。全体的にみると良い作品が多かったと思いますが、上手くても面白味に欠けるという印象でした。
アートディレクター / 猪熊 裕行氏
私も長く審査をさせていただいていますが、今回の審査で一番に感じたことは内山先生と同じです。例えばネイチャーで言うと、コンテストを始めた時から同じようなトリミングであったり、場所であったりというのが多いですね。上手な作品も多い中で、だからあえて選ばないというのが実際にあります。ドキュメントに関しては、自分の立ったままの視点でシャッターを切っている作品が多いと感じました。これまでもずっとそうだったと思いますが、極端に言えば寝転んで撮るとか、子供のような目線で撮るとか、そうするともっと変化のあるようなものが撮れるのではないでしょうか。総合的に毎回似た作品が多いというのが正直な感想です。